VR・MRについてひたすら考察するブログ

VR・MRが大好きで現在もとあるVRの企業にいる管理人が、VRやAR、MRの今後について大まじめに予測したり今あるサービスについてわかりやすく解説していくブログです。ビジネスマンなら、ちょっと知っておきたい身体拡張性のあれやこれ、お話しします。

モバイルVRの欠点

1.モバイルVRとハイエンドHMD

モバイルがVR普及において一番適しているのは自明である。VR体験の為にハコスコ等千円くらいのキッドを買うか、100000円払ってゴツいHMDを買うか。多くの新規ユーザーにとって、HMDに100000円は痛すぎる出費だ。一物多価の大原則のように、ユーザーはそのコンテンツの満足度が高まれば高まるほどよりお金を払ってくれるようになるのだ。従って今VRを普及させるためにはモバイルながらも従来のモバイルVRコンテンツを超える満足度を生み出す必要があるかもしれない。

 

2.モバイルVRのユーザーインターフェース(UI)

これは実に難しく、これが最大のモバイルVRの決定でもあるところだ。プレイステーションVRのようなハイエンドマシンは、画面内のアクションを起こす時手元のコントローラーを使用することができる。が、ハコスコなどのモバイルをVRにするゴーグルなどは、一部の端末を除き、画面内でのユーザーのアクションを反映させるコントローラーが、無いのだ。これがまさしく最大の問題点で、ユーザーがVirtual空間に働きかけることができない限り、ただ『見る』受け手としかありえないわけである。

 

3.現状の解決策

現状、モバイルではジャイロセンサーと視点を認識するセンサーが普遍的に搭載されている。ジャイロセンサーセンサーを用いた場合、『頷く』『拒否する』『首をかしげる』というコミュニケーションをすることはできる。全て盛り込むべきではあるが、これだけでは限界はあるだろう。一方視点を認識するセンサーが鬼門で、これは画面上に視点を数秒送ることで、その視点の先のアイコンや視界に関連したアクションを起こせるようにする仕組みが成立しうる。しかし、そもそもせっかく360度のバーチャル空間にいるかのように錯覚するような視界の中において、ある一点を数秒じっと見つめなければならないのはもったいない。しかも、普通にユーザーがぼーっとしていたらあらぬアクションがガンガン起きてしまう、なんてこともあり得る。また、画面上に選択肢などが出てきてしまったら、それはそれで興ざめである。一般ユーザーはやはりVRに没入感、リアリティを求めるのだ。こうしたモバイルでのアクションのおこし辛さは、VRの一般普及という文脈でみた時、大きな山の一つである。

 

ビッグデータの独占禁止法について

あまりにもな内容だったので、今回はVRそっちのけで一旦この話題について言及したい。概要は本日日経新聞に報じられたとおりである。ビッグデータな独占的な収集と利用、それを用いた囲い込みを独占禁止法の適用対象にしたのである。エレベーターのよくわからない話を引き合いに出しているが、これは根本的におかしい。一部では石油の例に例えて、今政策が妥当であると評するアナリストも居るが、もう根本的に全部おかしい。

 

まず、

①IT企業は基本的に、持ちうるデータの独自性を持ってして運営される会社である。これを開示要求があれば一定の恐らく安価なペイで開示しなければならないというのは、IT企業から資産を没収するのとほぼ同義である。企業は資産を活用してより良いサービスを生むわけだから、ミクロ的に見て技術発展は遅れそうである。さらに、情報を集めるために作り出した枠組みの費用は誰が補填するのか。甚だ疑問だ。

 

②IT企業はボランティア団体ではない。が、独占禁止法は自社のあらん限りのリソースを活用して構築したデータベースを独占するな、と言う。従ってこれがある限りIT企業にデータを集めるインセンティブはなくなってしまう。誰かがビッグデータを生み出して安く購入した方が合理的だ。共産主義下のコルホーズのように誰もデータを創らなくなりそうだ。従ってマクロ的に見てもこれは損である。

③公正な取引というが、石油や電気、ガスと違いデータの質は不均一であるし、誰がデータを使用するか、いつそのデータが取引されるのかという観点でもデータの価値は変わる。故に公正な取引という文言自体が砂上の楼閣的である。

 

④データは電気、ガス、石油とは違う。なぜなら石油などは生産できる地域が限られているが、データはパソコン1つ、いやアンケート用紙だけでも誰にでも集められてしまうから、どれだけ特定データの収集量の偏りをしらみ潰しにしても、発想の切り口でかならず新しい独占性は生まれてしまう。

 

⑤日本固有の問題点として、日本はビッグデータ後進国である。収集する枠組みも、蓄積している現状のデータ総量もアメリカを始めとするIT大国と比べれば実に卑小である。そのような国においてビッグデータを所有する企業が育ちきる前に首根っこを押さえて仕舞えば、後進国具合が加速するばかりで国としても新興産業にブレーキをかけ自ら首を締めてしまうのではないか。

以上5点から私はこの市場全体の萎縮を促すような政策について全面的に反対である。無論反論はありうるが、この政策が長期的な視座で見たとき日本経済に暗い影を落とすのは自明である。

 

VRの大予言

1.VR普及の手順

現在色々なHMDが出て大いに賑わうVR市場だが、全くVRと関係のない人々にその話をしてもふーーんと言われるのがオチだ。悲しい。盛り上がっているのはやはりイノベーター理論でいうピラミッドの一番上だけのようである。革新的な技術を皆が当たり前に使う為にすべきことは何なのだろうか。

 

2.わかりやすく人の役に立つ

昨今VRタイトルの色々なゲームがこれでもかとリリースされている。実際この流れは論理的にも正しい。ソシャゲを見ればわかるように、ソシャゲ全盛期での金の稼ぎ方、普及のさせ方を見れば、つまり前時代をよく勉強した者にとってはこれは間違いない手法だろう。(そもそもVRがエンタメコンテンツ向きだというのはあるが。)そしてソシャゲにも最近はIPを利用したコンテンツが増え、よりソシャゲにおけるイノベーター理論的なピラミッドの下層に向けて拡充が行われているわけだ。

だがスマホを普及させた最大の要因はゲームだけではない。たとえばLINE、FacebookなどのSNSだってそうだし、ナビタイムなどの便利アプリも普及に貢献しただろう。VRを真剣に普及させる為には、やはり日常における『なんてわかりやすくありがたいんだ!』という点を探さなければならない。

 

3.b2bへの利用

建築業界や特殊な人材育成業界などにはVRは既に参入している。やはり最新技術を使ったb2bビジネスの最大の利点は、その技術の効用さえはっきりしていれば普及させなくてもマネタイズが容易な点だろう。さらに言えば、企業であれ人の集合体なのだから、遠回りとはいえど普及の1手段としても利用可能だろう。願わくば、建築予定の建造物を施工前に内見ができるようにしたり、遠く離れた賃貸物件を家にいながらにして内見できるような、消費者に対して開かれたb2bサービスがより普及を促すかもしれない。

 

4.SNSという飛び道具

最近VRのSNSを開発し始めた会社があるが、これは普及への飛び道具かもしれない。同社はおそらくアバター文化やバーチャルライブアプリの流行、スカイプなどを統合したものとしてある程度のエビデンスを用意しながらローンチに向けて動いているかもしれないが、やはり博打感が否めないというのが筆者の心境である。海外には日本より普及率が高いことを利用し先行してこうしたSNSは存在するが、イマイチヒットしていない。が、日本は海外よりモバゲータウンを始めとしたアバター文化が根付いている。従ってどうなるかわからないというのが今の時点で言えることだ。

 

長くなったが、結局のところVRを普及するために各社が動いているのはよくわかる。ある会社は即マネタイズが可能なコンテンツを模索し、ある会社はHMDのプラットフォームを開発しようとしている。日本からVRのデバイスが販売されないのはアレであるが、今後もホットな市場であるのは間違いないのである。

eスポーツとVR

1.eスポーツとは

⑴eスポーツとは競技性が高く、⑵プレイヤーが一人称人格になり、⑶ゲーム内の身体自由度がある程度保障されたゲームであると筆者は考えている。ここにはストリート文化との密接な連関や大会が開催され金銭の流れがあるかも狭義にはあるが、ざっくり言えばこんな感じだろう。

 

2.VRとのシナジー

上記のeスポーツの特性としての⑵⑶に関して、VRは画期的な進歩を提供できるのは自明である。シナジー効果として他には、実際楽しさを普及する上でVRが提供する視界というのはこれ以上ないとっつきやすいコンテンツ化をゲームに付与し参入者が増加するだろうし、eスポーツの競技性にも、ゲーム内視点が限りなく自身の視覚に近づくことで上昇するだろう。おそらくゲームコンテンツをゲームコンテンツ以上のものとして金脈にするためにはeスポーツという文脈はかなり有効な手法と考えられる。

 

3.課題

問題はeスポーツそのものがどこまでの裾野を持ちうるものかという問題である。全ての競技性のあるゲームにおいて、プロとアマは運営が放っておくと乖離する傾向がある。この乖離が起こった時、そのカテゴリはニッチすぎる物として孤立化していく。さらに、例えばFPSのようなカテゴリは、まずユーザーがミリタリーが好きというようなハードルを越えなければならないのが辛いところだ(その意味で筆者は某イカが出てくるペイント系FPSは凄い、と戦慄した)。その意味で、この時期のシナジーとしては長期的に裾野が広いカテゴリを狙っていくか、ニッチなカテゴリを単身取りに行くか、という2つの戦略が考えられるかもしれない。

現時点に於けるVRの新規事業可能性

1.はじめに

今回は今までのトレンドに寄せた話というより、むしろ主観よりな話である。故に参考にならないなと感じたら唾棄してもらってかまわない。

 

2.VRのSNS

つい先日大手音楽事務所と大手ITベンチャーの出資を受け、VRのSNSのようなプロダクトを作らんとする会社が自らの所信表明をした。昨今注目されるVRで、プラットフォームを築きたいというのはとても理解できる構図である。

 

しかし問題なのは昨今注目している、というのが業界人プラスαだという問題点である。今100人街中で人を捕まえてVRに関する何らかの装置を持っている人間を数えたら、おそらく10人も行かないだろう。そもそもプラットフォームは人が集まってこそのプラットフォームであるから、今すぐローンチすれば、この観点からはうまくいかないであろう。

 

では、近年稀に見る成功を収めたSNSの名手Facebookというと、いわゆるweb2.0が2007年到来に対して創業2004年、さらに当時はハーバードの学生限定のエスタブリッシュメントコミュニティである。この観点から見れば時期としてはVRのSNSを作ろうとする時期は適切である。しかし、問題点は2つ避けがたく存在する。

 

3.問題点その1ーーニッチトップが拡大するケース

先述した通り、Facebookは初期はハーバードの学生のみに解放されたサービスであった。しかし、これは今や数十億人が使うとされるサービスだ。これはニッチトップから普遍へ、というまさしく理想の形態だが、これはニッチトップの属性次第ではうまくいかない場合も多い。Facebookの狙ったエスタブリッシュメントは、人類にとって避けがたく興味があるテーマだ。エスタブリッシュメントであろうがなかろうが、そこに対する指向性は幅広く認められる。故にトップエスタブリッシュメントからミドルエスタブリッシュメントへ、さらに下層へと限定解放されていく中で人のそういった指向性を丸め込みながら巨大なプラットフォームになった。

 

一方このVRのSNSはというと、ライブ空間の共有やそれに近似したサービスを好む人向けに開発されている模様である。(途中で変わるかもしれないから断定は避ける)音楽もまた多くの人に好まれるカテゴリであるが、ライブ空間というと疑問を呈す。筆者は音楽は大好きだが、ライブ空間はあまり好きではない。生演奏は好きだがむしろ、自分1人のために我が家でライブをしてほしいとすら思う。

当然筆者のような人間ばかりでないのば自明だが逆に皆が皆ライブ空間が好きかと言われればそうでないのも市場規模を見れば自明である。この観点から、サービスとしては上手くいって特定セグメントのみにはやるコンテンツとしての道は残されていそうである。

 

4.問題点その2ーMRを待たなくていいのか

VRはあくまでMRの先駆け、というのは先述した通りで、今現在VRが技術的に一番実現性が高いので過剰投資されているのである。とした時に、人々にとってのスマホ的なものが新時代においてMRグラスになり得るのも合点が行く。

 

そうした中で途上、もしくはエンタメ向きとされるVRでのSNSは、おそらくライブ空間好きの特定セグメントは使い続けるかも知れないが、Facebookほどの爆発は見込めなさそうである。

 

もちろん投資額などを見ると初めからニッチトップ狙いな感もあるし、その会社の方が初めからそのつもりである、と言うかもしれないし、そうである限りこのサービスは素晴らしいものである。批判する気も毛頭ない。繰り返すが、素晴らしいものである。

ただ、筆者はあくまでまだFacebookに変わる巨大なSNSは到来するタイミングではないのでは、という疑問を、例の会社の所信表明以降新時代の到来!新たなプラットフォーム!と騒ぐ輩が多いから抱いた、というだけのことである。

 

 

 

イノベーター理論について

1.前提となる世界観

昨今のテックには、実は緊急の必要性があるものが何1つない。緊急性に応じて開発されるのは、蒸気機関だったりに代表されるようなものだ。最後の必要性に応じた技術革新がパソコンだったのではないだろうか。ともかく、この文脈でいくとARにせよVRにせよ、当座ないと困る人はいないのである。要はマイナスをプラスへ、という埋め合わせの発想ではなく、今現代は拡張の方向にある。プラスが振り切れているところにさらにプラスをどれだけ載せられるか勝負なわけだ。

 

2.イノベーター理論とは

この上で最新テックは現代では身近なものとして普及させたもの勝ちである。こうした普及させる勝負には、より人間工学、人間科学的な人間に優しいオーガニックなサービスを提供するという旧式な正攻法もあるが、それと掛け合わされる形で、イノベーター理論というものがある。これは全てのテック領域において、その領域に対する興味関心度はとてつもなく高い人からまあ高い人、普通な人、ちょっと低い人、とてつもなく低い人と分類することができ、先述の順にボリュームも大きくなるという、いわば全体集合を広く顧客ととった時ピラミッド型の興味関心度の層が存在しているという理論だ。そして、興味関心が高いので当然サービスの購入も上位なほど高い。さらに下の層なほど自分より一段くらい上層がそのサービスを購入し始めると徐々にその最新サービスを買うという行動を見せる。したがって、最新テックにまつわるサービスを提供するものはすべからく今現在この瞬間、誰を相手取っているのかを詳細に把握するべきである。もう一段階話を逸らすと、このイノベーター理論で全体集合の三割を取れた時、一気にサービスが拡散する見込みがあると言われ、最新技術のサービスを提供する者たちは常にこの三割ライン(キャズム超えという)を狙うわけである。

 

3.じゃあVRは?

おそらくVRは今現在一番上の層が取りきれるか否かくらいだろう。(モバイルかハードか、話を分ければまた別だが)一番上の層が取れかけてると言ってもほんの数パーセントだから、VRが長期的に見てMRへと繋がっていくための普及状態をゴールとした時のまだ山一合目といった感じだ。このためにどうやってキャズムを超え完全な普及状態を作り出していくかは5年スパンの長期的な計画を練らなければならないし、おそらく各社練っているだろう。これはまた違う回に譲るとする。

VRの可動性

1.VRのハードを作っている会社3強

VR市場は現在大きく分けて3強のデバイスが存在している。

VRの火付け役にして今やFacebookの子会社のオキュラス社が展開する『Rift』我らがソニーが繰り出す『playstationVR』、北米企業と台湾のHTC社の協業の『HTC Vive』である。これにスマホバイスを簡単にゴーグルに装着してVR化するキッドも発売されているがそれは一旦置いておこう。

2.3強達のそれぞれの強み

この3強の大きな差異はまずplaystationVRが段違いに安いことだ。残り2つのデバイスは10万近くする一方playstationVRはなんと五万弱、約半額である。現在まだまだ普及しておらず未開拓のパイが大きい中で半額の提供というのは消費者から見れば大きなメリットであろう。更には有力なIPを多く抱えるplaystationVRには市場独占の最有力候補ともいえる。

ただ、オキュラス社のRiftはやはり市場のフロンティアとしての強みであるのは以前変わりない。

3.位置検出センサーとは

この2社を先述したのは彼らが位置検出センサーをテレビの前の狭い空間に限ったものとして開発したからである。つまり、テレビの周り1メートル強くらいにしか動き回れないのだ。いわばバーチャル上での視点の固定化であり、それ以上に動き回ろうとすればコントローラーでの移動となる。

一方HTC社のViveでは2つの位置検出センサーを部屋の対角線にそれぞれ設置することで部屋の中程の規模において現実世界とバーチャル上をリンクすることができる。つまり、部屋の中を歩き回っていてもマウントディスプレイ上ではハワイの海外を歩いてるような錯覚を得ることができるのだ。

つまり、要点としてはこの位置検出センサーがどれだけ正確か、どれだけ広範囲かで得られるVR体験の空間的な制限が生まれ得るということだ。

4.VRの課題点

これはVRが普及する根本的致命傷と言っていいだろう。何故なら先述した5〜10万のデバイスをいきなり買うユーザーは多くないからスマホなどのモバイルをVRとして利用してもらいまず普及させる必要があるわけだが、それにはこの位置検出センサーを搭載させ辛いからだ。この問題がクリアされない限り、モバイルをVR化するゴーグルは『一風変わったもの』程度の認識にしかなりえないだろうし、いわゆるイノベーター理論のキャズムを超えることはできないわけで、特にギーク色の強い”オタク”達が大金をつぎ込む、という以外の活路を見つけないと・・・というわけである。