VR・MRについてひたすら考察するブログ

VR・MRが大好きで現在もとあるVRの企業にいる管理人が、VRやAR、MRの今後について大まじめに予測したり今あるサービスについてわかりやすく解説していくブログです。ビジネスマンなら、ちょっと知っておきたい身体拡張性のあれやこれ、お話しします。

ビッグデータの独占禁止法について

あまりにもな内容だったので、今回はVRそっちのけで一旦この話題について言及したい。概要は本日日経新聞に報じられたとおりである。ビッグデータな独占的な収集と利用、それを用いた囲い込みを独占禁止法の適用対象にしたのである。エレベーターのよくわからない話を引き合いに出しているが、これは根本的におかしい。一部では石油の例に例えて、今政策が妥当であると評するアナリストも居るが、もう根本的に全部おかしい。

 

まず、

①IT企業は基本的に、持ちうるデータの独自性を持ってして運営される会社である。これを開示要求があれば一定の恐らく安価なペイで開示しなければならないというのは、IT企業から資産を没収するのとほぼ同義である。企業は資産を活用してより良いサービスを生むわけだから、ミクロ的に見て技術発展は遅れそうである。さらに、情報を集めるために作り出した枠組みの費用は誰が補填するのか。甚だ疑問だ。

 

②IT企業はボランティア団体ではない。が、独占禁止法は自社のあらん限りのリソースを活用して構築したデータベースを独占するな、と言う。従ってこれがある限りIT企業にデータを集めるインセンティブはなくなってしまう。誰かがビッグデータを生み出して安く購入した方が合理的だ。共産主義下のコルホーズのように誰もデータを創らなくなりそうだ。従ってマクロ的に見てもこれは損である。

③公正な取引というが、石油や電気、ガスと違いデータの質は不均一であるし、誰がデータを使用するか、いつそのデータが取引されるのかという観点でもデータの価値は変わる。故に公正な取引という文言自体が砂上の楼閣的である。

 

④データは電気、ガス、石油とは違う。なぜなら石油などは生産できる地域が限られているが、データはパソコン1つ、いやアンケート用紙だけでも誰にでも集められてしまうから、どれだけ特定データの収集量の偏りをしらみ潰しにしても、発想の切り口でかならず新しい独占性は生まれてしまう。

 

⑤日本固有の問題点として、日本はビッグデータ後進国である。収集する枠組みも、蓄積している現状のデータ総量もアメリカを始めとするIT大国と比べれば実に卑小である。そのような国においてビッグデータを所有する企業が育ちきる前に首根っこを押さえて仕舞えば、後進国具合が加速するばかりで国としても新興産業にブレーキをかけ自ら首を締めてしまうのではないか。

以上5点から私はこの市場全体の萎縮を促すような政策について全面的に反対である。無論反論はありうるが、この政策が長期的な視座で見たとき日本経済に暗い影を落とすのは自明である。